カテゴリー「MBA学生日記」の記事

2012年7月13日 (金)

JBCC 2012本選進出チーム決定!!

この度のJBCC2012の予選通過者の発表は、昨日7月11日(水)夕方から夜にかけて行われました。
ご存じの無い方のためにやや補足すると、JBCCとは、『国内MBA学生による学生のためのケースコンペ頂上決戦』です。

今年は、6月上旬にケースの配布が行われ、そのケース(本選1週間前に公開予定)課題を解決するべく戦略提案を予選エントリーとして行いました。ちなみに、ケースは国内大手自動車メーカーの経済圏の中に位置する、サプライチェーンに位置するメーカー企業の経営者の苦悩に提案するという設定です。
そして、昨日行われたのが予選の通過者(=本選進出者)の発表でした。

肝心の予選通過チームは、慶應(2校)、早稲田、中央、神戸、そして、我らがグロービス(4校)です。参加校12校、全51チームからの選抜です。おめでとうございます!!

本選の7月29日(日)に向けて、皆さんまたまた忙しくなりますが是非とも悔いの無きよう励んでください!!

大会、及び本選進出通過者詳細は、下記をご覧ください。
http://jbcc2012.web.fc2.com/yosen.html

並びに、本選は各チームの個性光るプレゼンが堪能出来てインテリジェンス好奇心を刺激するに余りあるものとなっております。(昨年、本選出場し、全他校プレゼンを聞いて実感致しました)

2012年6月19日 (火)

国内MBAの頂上決戦を見にきてください。

Jbcc_2JBCC(Japan Business School Case Competition)という、国内MBA学生による学生のためのケースコンペがあります。
私、今年の実行委員をやらせて頂いています。

ちょうど昨日、18日(月)にJBCC実行委員会を実施しましたので、簡単なご紹介をさせて頂きます。
慶應、早稲田、一橋、そして、私たちグロービスメンバー、全員MBA課程の現役学生総勢8名で予選締切の6月22日(金)を前に、締め切り後から本選メンバー確定、本選実施に至るまでの全てのタスクについて話し合いました。

現在のエントリー状況は、15校、50チーム強です。
本選は、暫定で6チームから9チームですがこればっかりはフタを開けてみないと何ともいえません
本選は、7月29日(日)ですが、予選を勝ち抜いたチームのプレゼンはいずれも秀逸で決して飽きることがありません。
同じケースから、こんなに異なる提案内容、プレゼンになるのだと感心します。私は、昨年それを実感しました。

7月29日は、是非、皆さん足をお運びください。
なお、JBCCサイトは下記の通りです。サイトを見たら「いいね!」をお忘れなく。
どうぞよろしくお願いします。
http://jbcc2012.web.fc2.com/index.html

2012年6月11日 (月)

『ハーバードビジネスレビュー創刊35周年記念セミナー』
登壇御礼と報告:グローバルマーケ(3/3)

Photo_2そして、第3部は、『グローバル・マーケティングの最前線』です。

P&G バイスプレジデント 野上麻理氏、 GEヘルスケア・ジャパン 超音波本部長 多田荘一郎氏、日本IBM 戦略コンサルティング パートナー 浅野智也氏が登壇されて、非常に興味深い議論が展開されました。

グローバルというと、海外進出、輸出業、海外企業とM&Aのようなイメージが一般的ですが、今回はいい意味で期待を裏切られる議論の展開がありました。

例えば、「より日本人であること、日本企業であることを意識すること」。お三方とも外資系の日本法人の方なので、私たち生まれ育ちも日本の企業よりも、目線として海外をよく見られているのではと思っていました。ところが、全くその逆で外資の中での日本法人だからこそ、「日本人の好みや特性」「日本市場の特徴」を正確に捉え、HQに対して「主張」する必要があるのだと知りました。

例えば、P&Gの野上さんのお話しにあった、「日本人は強い香りが嫌い」という事実に対してP&GのHQから「japanese different(日本人は違う、日本市場は違うと、いつもいつも日本は違うんだと言ってくる)」と言われ続けることでより日本市場であること、日本企業であること、日本人であることを強く意識するそうです。
私には無い視点だったので、目からウロコでした。

また、最近聞くようになった『リバースイノベーション』。
これも、自分の職環境からはほぼ発生しないイノベーションなので、新鮮かつ誇らしいものでした。
外資系企業のHQのラインナップには元々無かった製品やサービスであり、海外進出した先の国の市場や顧客のニーズから発生した新製品・サービスがのことで、かつそれがHQ側に逆流して正式に製品化・サービスインされること。

また、P&G野上さんの事例の引用になりますが、あの「ファブリーズ」(写真:これは米国ファブリーズ。洗濯機から飛び出してきているものがその国で「洗いたいけど洗えないものの」)がその代表格だそうです。GEヘルスケア多田さんからは、日本、アジアで圧倒的に多い(この事実を知りませんでした)「肝臓疾患の超音波検査器具」がその事例として出されました。

日本IBM浅野氏の、HQとローカルのマーケティング組織がミラー構造になっており、ローカルの各チームは、各地域のマネジメントだけでなくHQの同一機能をもつ組織にもレポートを実施しているという話。自分がイメージしている通りのIBMの中央集権的なガバナンスの効かせ方であると、再認識しました。

最後の方から会場の質問により、グローバルリーダーシップのタレントの話にも及び大盛況に終わりました。

大変有意義な1日でした、どうも有難うございました。

2012年6月10日 (日)

『ハーバードビジネスレビュー創刊35周年記念セミナー』
登壇御礼と報告:O2Oマーケ編(2/3)

Money_kit_2(続きです。写真はソニー銀行の「MONEY KIT」)自分が出させて頂いた、『O2Oマーケティング』は、まさしく4社4様のO2Oであり、マーケティングというものは、一様ではなく、企業、業種、商材・サービスで変わってくるものだということをあらためて強く認識しました。

例えば、エムスリー社。 

同社の場合は、各製薬会社にいる医療系営業職であるMRとM3サイトにいるバーチャルな『MR君』。このオフラインとオンラインの融合により、クライアントである製薬会社の営業効率の最適化を支援しているわけです。

なんと、『MR君』からのメッセージの医師の視聴率は70%を超えるそうです。メールマガジンのクリックレート10%(もいけばいい方)と比較するとその圧倒的な高さがうかがいしれます。
西氏によると、オフラインMRが9%の売上カバー率、そこにオンラインのMR君を追加することで8%追加され16%と1.7倍の効果をもたらしているとのことでした。

ガシー・レンカー社。

あの『プロアクティブ』と言った方が皆さんピンとくるかもしれませんが、同社堂山氏。
同社の場合、派手なテレビ広告、キャラクターの真鍋かおりさん、店舗が無くネットオンリーというイメージですが、全国に80もの店舗(オフライン)があるのです。皆さん、ご存じでした?
その店舗というのは、自動販売機のことです。例えば、都内であれば恵比寿アトレにあります。
個人的には店舗といえば人がいて固定資産比率も高くコストのかかるイメージですが、同社の場合、この店舗の採算をみながら新規出店や移転を計画実行することが出来ると聞いて、なるほどなぁと嘆息しました。これも、O2Oのひとつの実現方法です。

そして、ソニー銀行の河原崎氏。

ソニーと金融という、一般的にはアンマッチな印象かもしれませんが、同社は縁あって前職で「MONEY KIT」というアプリのツール開発をご支援させて頂いた経緯もあり、ネットオンリーの銀行として10年近く事業展開されている姿を横で見させて頂いていました。そこで、今回のO2Oテーマで登壇されるということは、何かオフラインで何か始まっているのだろうかと思ったところ、既に(2010年)JR東京駅で「住宅ローンプラザ」を始められていました。

リアル店舗からバーチャルへ、という動きがかつての「クリック&モルタル」なら、同社のものはその逆の流れを作ったケースの好事例のひとつかと思います。
個人的には、DeNAの球団運営も、ネットに立脚した事業から実体のあるリアルビジネスにきた流れのハイエンドな例と捉えています。

そして、私の事例は、全国200に及ぶTSUTAYA事業のフランチャイズ加盟企業様向けの(B2B)マーケティングであり、エンドには店舗及びT会員という顧客はあるものの、対象はあくまで企業様という立ち位置でお話しさせて頂きました。
よって、今回のO2Oというテーマで語る場合、オンラインとオフラインのマーケティングチャネルの最適化が課題、かつ重要、という視点がポイントとなりました。具体的には、加盟企業向けのWeb、メール、FAX、カタログ、営業、イベントなどがチャネルとなります。今期は特に、このチャネルの費用対効果、受注への貢献を可視化することでO2Oマーケティングの最大効率化を図っております。

次の第3部の「グローバル・マーケティングの最前線」は追ってアップいたします。お楽しみに!

2012年6月 9日 (土)

『ハーバードビジネスレビュー創刊35周年記念セミナー』
登壇御礼と報告:ヤマト運輸山内社長編(1/3)

Hbr_36月7日(木)ダイヤモンド社「ハーバードビジネスレビュー創刊35周年記念セミナー」に登壇させて頂きました。
素晴らしい皆さまに囲まれて大変光栄かつ、学びの多い1日となりました。

当日のプログラムは下記の通りです。

● 基調講演 『ヤマト運輸のグローバル化戦略』
ヤマト運輸 代表取締役社長 社長執行役員 山内雅喜氏

● 『O2Oマーケティングの実際』
モデレーター 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授 名和高司氏
>> エムスリー取締役 西章彦氏
>> ガシー・レンカー・ジャパン 代表取締役 堂山昌司氏
>> カルチュア・コンビニエンス・クラブ 販売促進ディレクター 村上佳代(私)
>> ソニー銀行 マーケティング・オフィサー 河原塚徹氏

●グローバル・マーケティングの最前線
モデレーター 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授 菅野寛氏
>> P&G バイスプレジデント 野上麻理氏
>> GEヘルスケア・ジャパン 超音波本部長 多田荘一郎氏
>> 日本IBM 戦略コンサルティング パートナー 浅野智也氏

まずは、基調講演の簡単なまとめを。
過去に、同社の2代目社長小倉昌男氏の『経営学』を読んで以来、経営の姿勢や社会貢献の関与の在り方など、常にwatchさせて頂いている会社だったので、直接お話しが聞けることが非常に有難かったです。

下記は、山内社長の講演語録。

◆当初は、発注者である『送る顧客』のニーズを追求していたが途中で変えた。それは『受け取る顧客』のニーズに変えたこと。(サービスへの関与者が誰であるかを突き詰めた結果ですね)

◆昔は、「小包」で鉄道輸送。普通は、3日ぐらいは最低かかるのが当たり前の時代に、宅急便という新しいサービスを創りだした。それまで無いサービスだから、ニーズも無くて当たり前。(ニーズを創るのがイノベーションですね)

◆一番大事にしたのは企業としての価値観である社訓。何の為にサービスをしているのかを社員のすみずみに浸透させる。

◆日本で培った宅急便を中国、台湾、香港、シンガポール、マレーシアなどで展開。日本と同じクルマ、制服でやってる。何より同じなのはサービスクオリティ。ここまで求めていない、と言われるかもしれないが敢えてやる。

◆アジア各国現地のサービスローカライズは難しい。全て現地採用ではなく、現地の指導にあたるのは日本から優秀な社員を送り込んだ。

◆商品ではなく「サービス」のグローバル化は「理念」と「姿勢」が特に大事であり不変。仕組みややり方は、勿論適応させて柔軟に変えていけばいい。(サービスを提供するのは「人」だから、さらに「理念」が重要視されるわけですね)

第2部の自分が出させて頂いた、O2Oマーケティングは、『4社4様のO2O』であることがわかりマーケティングというものは、一様ではなく、企業、業種、商材・サービスで変わってくるものだということをいつもの事ながら痛感しました。 (続く)

2012年5月21日 (月)

ジョブスのiPodを
MBAのクラスで扱うとこうなる

2001firstipodstevejobs 先日の大学院のクラスで、『iPod(2001年発売)』がなぜマネタイズに成功し、さらに収益を拡大させることができたのかをいくつかのフレームワークで切って分析し、議論したのですが非常に面白かったです。

詳細なフレームワークはここでの掲載は割愛させて頂きますが(グロービスへ行こう!?)、単純にiPodの成功を追うというよりも、新テクノロジーが社会と企業と人々にもたらすパラダイムシフトをどう捉えて、永続的に価値あるビジネスを生み出せるかを議論しました。

下記は私の見解です。

●ナップスターのもたらした社会への影響

全てのデジタル化されたコンテンツはそれが仮に違法であったとしても、インターネット環境とPCがあればそのコンテンツの本来の所有者や著作権者と何ら金銭的繋がりを持つこと無く、個人ユーザーと個人ユーザーとの間で直接取引が出来る事実を世の中全体が認識したこと。

そして、その後のデジタルコンテンツ流通ビジネスを考えるうえでの起点となった。

●iPod(Apple)がもたらしたビジネス界への影響と、収益化の理由

『高いハード(iPod 399ドル)と安価なソフト(1曲 0.99ドル)』という、かつて多くの企業が成功してきた『安いハード(時に無料のハード)+運用課金チャリンチャリン』を、完全に根本的に変えた発想。

当時のソニーコンピュータエンタテインメントがゲーム端末のPS2/3でほとんど儲けておらず、大量のゲームソフトの権利で儲けていたことも有名な話しですが、ソニーがApple型の発想にいけなかった理由であり、まさしく、成功体験が足かせとなったのかと思われます。
またグループ内で音楽コンテンツを抱えているということも、グループ会社内で利益相反をかかえてしまうため、いきなり1曲100円にすることも組織的に厳しかったのかもしれません。

そんな中、ずっと家に置いてあった「スティーブ・ジョブス ~偶像復活~ビジネス史上最も偉大な第2幕」(原題 icon Steve Jobs)を、まだ読んでいなかったので今さらあらためてざっと読みました。
有名な本なので、多数ご存じと思いますが、90年後半にジョブスがアップル社に戻ってから2004年ごろまでを書いた本です。

第11章が「iPod、iTunes、故に我あり」と、ちょうこのクラスで扱ったところです。

冒頭シーンで、音楽コンテンツダウンロード市場に無限の可能性があるのに、MP3プレイヤーがさっぱり売れていない実態を、ジョブスが「既存のMP3プレイヤーを見ると、家電メーカーがソフト面を理解していないことがよくわかる」とバッサリ切って、自分ならできるという自信を見せています。

そして、ナップスターなどの登場による音楽業界からのインターネットテクノロジーへの不信から、iPod開発の裏話、高いハード価格設定情熱的なジョブスの音楽レーベルへの提案と説得などはなかなか興味が尽きませんでした。

RIAAのローゼン会長も下記のように述べていますが、音楽という商品を『全く新しい方法でどうやって売るかをとことん考えた』のが、ジョブスだったのかと思います
「テクノロジーの人々にとって音楽はソフトウェアに過ぎません。でも、スティーブは熱狂的な音楽ファンでした。これは音楽業界の人々にとって大きな意味がありました」

ジョブスだから、と言ってしまえばそれまでで思考停止を招きます。ジョブスが何をしたのか、なぜそうしたのかを追跡し分析するところにこの議論のカギがありました。

2012年5月 1日 (火)

GoogleをMBAのクラスで扱うとこうなる

Google_2この前の大学院のクラスでGoogleの創業からIPO(2004年)、2010年頃までを考察しました。

考察のポイントは、同社が米国のネット系ベンチャーとしては結構"後発"にも関わらずなぜ拡大成長を遂げることができたのかです。

議論をここで再現することはちょっと難しいので、下記はかなり簡潔にエッセンスと、ひとまず私の見解です。

●Googleのもたらしたもの
・情報流通革命
・情報の価値認識への問題提起(何が有料?or無料?)
・情報の取捨選択、発信リテラシーへの警告

●Googleがなぜ成功してきたのか
・ラリー ページ、セルゲイ ブリン掲げた理念を信じ守り実行、継続してきた

●成功を支えてきたGoogleの理念ベスト3
・テクノロジー重視(世界一ネットを知り尽くしている)
・圧倒的な民主主義は機能する
・悪事をなさず

●Googleの将来
・圧倒的NO.1だった同社だが、互角といえるライバル(facebook)が出現したことで、予測が難しくなり正直わからなくなったと思う。

株価を調べたみたところ、同社の過去5年での最高値は732$(2007年11月時点)で700$を超えていたが、直近は614$で、600$周 辺をウロウロしている様子が見て取れました。企業のライフサイクルとしては成長期を超えて完全に安定期に入っています。
▼データは下記bloombergサイトより▼
http://www.bloomberg.co.jp/apps/cbuilder?T=jp09_&ticker1=GOOG%3AUS

ちなみに、同社の場合、シュミットと創業の2 名の持つ株が普通株の10倍の議決権のある優先株であり、それを容認して株主となっている(経営陣を信頼している)投資家がほとんど、という企業でもあります。

個人的には好きな会社なので、これからも「クール」な体験を提供し続けてください。いい意味での緊張関係をfacebookとは保ち続けて欲しいと思います。

2012年4月17日 (火)

「楽天がなくなる日」と「2ちゃんねるがなくなる日」

Rakuten いま、ビジネススクールで「ネットビジネス」のクラスを取っていますが、「楽天」のプラットフォームモデルを深掘することが課題となっており、いろいろ情報を集めてました。

そんな中、こんな本を見つけました。
「楽天市場がなくなる日」
amazonでの評価は凄くいいというわけではないようですが、この著者のコラム比較的好きなので気になり、さきほど購入しました。(もう絶版のようなので、定価の倍以上での購入です。。^ ^;)
読書メモはまた別途掲載します。

ちなみに、この本の著者の宮脇睦氏はこんなコラムも書いてます。
私は、2ちゃんねる世代でもあり2ちゃんファンですが、これは法の解釈にも触れていてなかなかいい記事で事実を客観的に突き語っていると思います。

「2ちゃんねるがなくなる日と、Webサイト棚卸のすすめ」

「2ちゃんねる」もソーシャルメディアの進化の中でその役目を終え、それは進化の過程で必要でかつ大きなターニングポイントだったのでしょうね。感覚的表現ですが、ソーシャルメディアは完全にキャズムを超えメインストリームにきている実感があります。

ちょっと雑感的ですが、2つの「なくなる」という韻を踏ませる感じで簡単にまとめてみました。
また、上記の本と記事、いずれも宮脇睦氏によるもので、普段は記事を面白く読ませて頂いているので、著書の方も買ってみました。が、いちばん言いたいいことです。

2012年4月13日 (金)

6年ぶりの「ウェブ進化論」
世の中変わっちゃいない!

Photo_2大学院のネットビジネスのクラスで『ウェブ進化論』が推奨本なので、実に6年ぶりに読みました。

初めて『ウェブ進化論』を手にしたのは、出版されてすぐの2006年、いまから6年前でした。

当時は、「あちら側(インターネット側)」「こちら側(リアル側、PC端末側)」という新しい表現に対して、「うまいこと言うな~」と梅田氏のテクニックに妙に感心しました。

ちょっとGoogle礼賛過ぎるところが気になりましたが、ネットがもたらすパラダイムシフトについての表現はリアルでわかりやすいなと思って読んでました。

そして、6年を経た感想は、結局、世の中はあまり変わっていない。むしろ、「あちら側指向」と「こちら側指向」の人たちの格差が拡がっているのではないかという問題意識が起こりました。

例えば、「あちら側指向」の代表格としての若年層。生まれたときからネットがあるというデジタルネイティブたち。
その逆の、いまだ「こちら側指向」、特に日本のエスタブリッシュメント層の人たち大企業の中高年以上は、オモテ向きはSNSだなんだと言ってみても自分でもやっていないし学習する気がないような人たちがいまだ多いという印象です。(私の周囲だけ?)

あと、最近特に「あちら側」のテクノロジーの進化を実感しやすいツールが、やはりSNS系だと思いますが、、
facebook/Twitter/Blogは言うまでもなく、DropBox/Flicker/Youtubeなどの共有系Skypeでのグループ対話(敢えて会話の共有と言いたい)は個人的には無くてはならないものです。
毎年、よくぞこんなに機能進化するなと感心します。まさにムーアの法則を実感します。(18か月毎に倍になるという厳密性はありません、すみません)

でも私が他にいつも感じている、「あちら側」と「こちら側」の格差問題があります。
「大企業中高年(要は、学習しなくなったおじさん、おばさん)vs若年層(デジタルネイティブ)」という構図ではなく、「大企業依存精神系vs個人独立精神系」の構図です。

もっとわかりやすく本書にかいてあった言葉を借りると「いったん属した組織を一度も辞めたことの無い人たち(辞めるつもりもない)」と、「会社の中の自分より、社会の中の自分を意識している人たち(村上オリジナル)」のリテラシーがそのまま、「あちら側」リテラシーの高低とリンクしているように感じることです。勿論、例外はいると思いますが。

会社中心生活の人の場合、いまどき勿論PCは使うのでデジタル格差や、アプリケーションが使えないということはあまり無いのですうが、会社で使うソフトウェアやグループウェア依存型の人が多いので、社外の人との情報共有や交換の必要性を感じず、facebookのグループ機能、GoogleドキュメントやDropBoxでのファイル共有、ブログを通じて友人が出来ることや仕事がくることを話すと私がまるで「宇宙人」「知らない人」であるかのように見られるのです。

ま、使わなくても不便が無いからなんだとは思いますが、、、「あちら側リテラシー格差」を感じます。
無理にその格差を埋めろとは言いませんが、いずれその「あちら側」利用体験からもたらされる経験の貯金の残高の差が最大限に開く頃に、社会において生きる術、お金の稼ぎ方で決定的な違いが生じるような気がします。ま、こんなことを言っても私もヘンな目で見られそうなのでその人たちには言いませんが、、、

な~んてことを、6年ぶりにこの本を読んで、ある意味何も変わっちゃいない、と思ったのが正直な感想です。

それは、この本に書かれていることが全く陳腐化していない証拠だとも思いました。
実に、「学習しなくなったと言われているおじさん世代の人たち」にこそ読んで欲しい本です。

2012年3月18日 (日)

「起業のファイナンス」著者、磯崎哲也さん
グロービスへご登場!!
「日本のベンチャーは始まったばかり」

Photo_3前職時代の尊敬すべきのOBでもある、磯崎哲也さん (公認会計士)が、3月16日(金)グロービス経営大学院の公認クラブGEC(グロービス・アントレプレナーズ・クラブ)のイベントに登場されました。

前半は、起業家のバイブルといわれる「起業のファイナンス」に関するお話、後半は参加者からの起業やベンチャー視点のファイナンスに関する質疑応答という構成でアッという間の2時間強でした。

カネ系鋭意学習中の私にとっては非常に分かり易く、また現場視点、かつGoogle、Facebook、ソフトバンク、楽天、DeNA、GREEなどの超メジャー会社の事例も豊富でまさに「実学の時間」を体験することができました。

参加したくても出来なかった方も多数いらしたようなので、私の以下のメモが少しでもお役に立てれば幸いです。

●大結論:「日本のベンチャーは始まったばかり」

GDPがマイナス成長になったり、円高が進んだりと日本経済がこんなんだから「ベンチャーはもうだめなのではないか」という昨今の風潮が、かなり誤ったネガティブな認識だということがよ~くわかりました。

現在、新しい雇用を生んでいるのは若い会社であることが多いこと(そういえば、最近のGREEやDeNAのエンジニアの奪い合いや大量採用、Amazonの仙台コールセンター・岐阜の物流センター新設で各1,000名の新規雇用など思い出しました)。

また、日本は沈没しているという風潮について。2001年9月から2011年9月までの10年間でTOPIXは26%下落しているが、57%の上場企業の株価は上がっている。大きく下げているのが重厚長大の企業のため、加重平均的に全体値への影響が大きく出てしまっているのだと事実。このように、ディテールで企業の実態を見ていかないと目が曇ってしまうと強く認識しました。

VC(ベンチャーキャピタル)の投資が下がっているのではないかという指摘について。実際に、最近の金額が落ちているのは事実だが、賑わっているところは賑わっていて気にするレベル感ではないということ。

「アタマのいい人の間違い」印象に残るフレーズですが、日本は高齢化で経済成長もしない、だから起業には向かない、日本は税率が高い、産業は成長していない、だからベンチャーも成長できない。と、これらは全て「アタマのいい人たちの間違い」であって、ベンチャーとマクロは関係無いそうです。

本質を言えば、本当にいいベンチャーなら景気が悪かろうが、倒産する会社が増えようが実際関係が無い(相関が無いといことでしょう)ということです。

●日本のベンチャーファイナンスは米国の10年~15年遅れ

単純に、日本ベンチャーやファイナンスリテラシーが追い着いていないともいえる。株式の種類の違いを理解していない、IPOなど将来のことを考慮しない資本政策等などが随分と見受けられるようです。

現在はソフトバンク、楽天など大手のベンチャーが先導してM&Aを実施し、事例を増やしてベンチャー生態系を作っているところといえます。ベンチャーが増えれば、もっとM&Aも増えていくでしょう。

公開前の資金調達も、米国は日本の100倍から1,000倍。しかしながら、仮に楽天の公開前の資金調達4.5億円が440億円だったと仮定しても当時その金額感の必要性が見いだせないことも事実で、現状の日本企業の資金調達額は妥当、必要にして十分ともいえそうです。

●日本での上場時に気を付けること

持ち株比率の実質的な制限があります。ある証券会社がいうには、VC(ベンチャーキャピタル)+SO(ストックオプション)で30%以内にとどめることだそうです。

共同創業者との持ち株比率の調整も重要です。IPO後の退社の際の持ち株を渡すのか返してもらうのかは事前に契約書内で決めておくのが望ましいです。

例えば、1年で辞めたら100%返してもらい、2年なら75%などパターンはいくつかあります(reverce vesting)。それから株価は時価ではなく付与時の価格にしておきます。(企業価値が上がり、買い戻せない株価になってしまう可能性もあるからです。本来は喜ぶべきことですが)

ただ、人間関係の問題もあるのでガチガチにせず、交渉のたたき台的な位置づけにしておくことをお薦めします。

●「デュアルクラス」

最近ではGoogleなどで有名な種類株式(元々は、ニューヨークタイムズ社、ワシントンポスト社などメディア企業が主流)。

1株あたりの経済価値は等しいですが、議決権が1対10などと異なりクラスが複数存在する株式です。

上場する意味があるのか?などの議論もありますが、コカコーラなど食品・飲料など事業内容がわかりやすい場合は議決権が等しい方が、市場原理がはたらき最適解に行き着くこともあり得ますが、GoogleやFacebookなど先進的テクノロジー系の新規事業の内容は株主が理解することが難しい場合もあります。

よって、先進的、専門的な内容の事業会社の場合議決権が創業者などに偏りがあったとしても、問題があるとは言えず、むしろその方が企業価値が高まるケースも十分にあります

●「Femto Startup」について

磯崎さんたちが今年設立されたベンチャー支援組織です。
投資額は、1件あたり200万円~300万円で、年間3件~5件ぐらいを想定されているようです。
対象は、強い成長志向で、超アーリーステージの企業が対象です。
投資額が一見低そうですが、バイアウトやIPOを想定したときの資本政策上、外部に持たせる資本(株式)が高くならないようにという配慮もあるとのこと。(なるほど!)

ベンチャーとしてのIPOの進め方や資本政策の在り方を磯崎さんに教えてもらえるのは本当にラッキーだと思いました。

長くなりました。ざっくりと以上です。

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