大学院のネットビジネスのクラスで『ウェブ進化論』が推奨本なので、実に6年ぶりに読みました。
初めて『ウェブ進化論』を手にしたのは、出版されてすぐの2006年、いまから6年前でした。
当時は、「あちら側(インターネット側)」と「こちら側(リアル側、PC端末側)」という新しい表現に対して、「うまいこと言うな~」と梅田氏のテクニックに妙に感心しました。
ちょっとGoogle礼賛過ぎるところが気になりましたが、ネットがもたらすパラダイムシフトについての表現はリアルでわかりやすいなと思って読んでました。
そして、6年を経た感想は、結局、世の中はあまり変わっていない。むしろ、「あちら側指向」と「こちら側指向」の人たちの格差が拡がっているのではないかという問題意識が起こりました。
例えば、「あちら側指向」の代表格としての若年層。生まれたときからネットがあるというデジタルネイティブたち。
その逆の、いまだ「こちら側指向」、特に日本のエスタブリッシュメント層の人たち大企業の中高年以上は、オモテ向きはSNSだなんだと言ってみても自分でもやっていないし学習する気がないような人たちがいまだ多いという印象です。(私の周囲だけ?)
あと、最近特に「あちら側」のテクノロジーの進化を実感しやすいツールが、やはりSNS系だと思いますが、、
facebook/Twitter/Blogは言うまでもなく、DropBox/Flicker/Youtubeなどの共有系、Skypeでのグループ対話(敢えて会話の共有と言いたい)は個人的には無くてはならないものです。
毎年、よくぞこんなに機能進化するなと感心します。まさにムーアの法則を実感します。(18か月毎に倍になるという厳密性はありません、すみません)
でも私が他にいつも感じている、「あちら側」と「こちら側」の格差問題があります。
「大企業中高年(要は、学習しなくなったおじさん、おばさん)vs若年層(デジタルネイティブ)」という構図ではなく、「大企業依存精神系vs個人独立精神系」の構図です。
もっとわかりやすく本書にかいてあった言葉を借りると「いったん属した組織を一度も辞めたことの無い人たち(辞めるつもりもない)」と、「会社の中の自分より、社会の中の自分を意識している人たち(村上オリジナル)」のリテラシーがそのまま、「あちら側」リテラシーの高低とリンクしているように感じることです。勿論、例外はいると思いますが。
会社中心生活の人の場合、いまどき勿論PCは使うのでデジタル格差や、アプリケーションが使えないということはあまり無いのですうが、会社で使うソフトウェアやグループウェア依存型の人が多いので、社外の人との情報共有や交換の必要性を感じず、facebookのグループ機能、GoogleドキュメントやDropBoxでのファイル共有、ブログを通じて友人が出来ることや仕事がくることを話すと私がまるで「宇宙人」「知らない人」であるかのように見られるのです。
ま、使わなくても不便が無いからなんだとは思いますが、、、「あちら側リテラシー格差」を感じます。
無理にその格差を埋めろとは言いませんが、いずれその「あちら側」利用体験からもたらされる経験の貯金の残高の差が最大限に開く頃に、社会において生きる術、お金の稼ぎ方で決定的な違いが生じるような気がします。ま、こんなことを言っても私もヘンな目で見られそうなのでその人たちには言いませんが、、、
な~んてことを、6年ぶりにこの本を読んで、ある意味何も変わっちゃいない、と思ったのが正直な感想です。
それは、この本に書かれていることが全く陳腐化していない証拠だとも思いました。
実に、「学習しなくなったと言われているおじさん世代の人たち」にこそ読んで欲しい本です。