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2010年4月27日 (火)

このたびのライブドア63億円
割高?それとも割安なのでしょうか?

約2週間ほど前「NHN Japan 株式会社がライブドア株式を63億円で取得」したニュースが業界内で賑わっていました。

Photo_2

個人的、かつ直観的にはいっときのライブドアを思えば63億円は安い買い物のように思えたのですが、いかんせんフアカウンティング勉強中(ファイナンスはこれから)の身ゆえ大した根拠がありません。
そこで、グロービスの青山さん(「先生」と呼ぶな!と言われております)に、「どう考えたらいいのか」を訊いてみました。

まず、企業を評価する方法としては、おおまかにマルチプルという方法、DCFという方法、資産等の時価(売却価値)により見積もる方法の3つがあると考えられるそうです。でも、結論から言うと、いずれの方法をとったとしても外部の人間が現在の(株)ライブドアの価値を適切に見積もるのは困難である、ことを踏まえて欲しいとのことでした。

以下が、それぞれの方法の特徴の簡単な説明と、なぜ難しいかを解説頂いたもの、ほぼ全文引用です。

マルチプルというのは、「1株当たり当期純利益の何倍の株価となっているか」を表すPER(株価収益率)という指標によって
株価が割高なのか割安なのかの判断するような方法です(PER以外にPBRというような指標もありますが…)。

買収価格の63億円を時価総額とみなした場合、これを発行済株式数で割れば、株価に相当

Naver_2

する金額が出ます。
これが1株当たり当期純利益の何倍になっているかを計算すれば、PER(株価収益率)と言われる数値が計算できるでしょう。(63億円とB/S上の純資産の倍率を計算すれば、PBRが計算できます。)

ただ、これをかつての(株)ライブドアのマルチプルと比較することは意味がありません。というのは、もちろん以前とは事業の状況が変わってしまっているであろうことも原因ですが、そもそも現在の(株)ライブドアは、かつての(株)ライブドアとは同じ会社ではないという問題が存在しているのです。

かつての(株)ライブドアはグループの親会社でしたが、2007年に(株)ライブドアホールディングス、2008年に(株)LDHへと2度の社名変更を行っています。つまり、(株)LDHがかつての(株)ライブドアなのです。ヽ(´ー`)丿 フッ

一方、現在の(株)ライブドアはというと、かつての(株)ライブドアが行っていた事業のうち、メディア事業とネットワーク事業だけを分離・独立させて設立した会社なのです。なので、単純な比較ができません。。

上で計算したマルチプルを業界の他の企業(もしくは業界平均)のマルチプルと比較することも考えられますが、個別の企業との比較の場合は、事業構成が類似した企業が見つからないことも多いですし、業界平均との比較の場合は、あくまでも平均との比較ですので、おおざっぱな意見として割高/割安とは言えても、本当にそうなのかという厳密な評価は難しかったりします。

次に、DCF法ですが、これは将来生み出されると予測されるキャッシュフローをベースに評価を行う方法です(詳細は、ファイナンス系の科目で学んでください)。

(株)ライブドアのHPをざっと見たところ、単体ベースのB/Sはかろうじて公開されていますので、過去、事業上からどのぐらいキャッシュを生んできたのかは、ざっくりとであれば確認できるでしょう。

が、問題は、この事業が今後どうなっていくかを見通せないと、何らかの計算はできても、その計算結果が意味のあるものにはならないということです。また、(株)ライブドアの株式を保有することにより、NHNグループの一員となる各社の分は計算できていません(これらの各社の財務諸表が公開されているかどうかは知りませんが…)。ということで、これもかなり厳しい。。。

じゃあ、残った資産の時価により評価する方法はというと、アカウンティングの最も大きな限界は、ブランドや技術力といった目に見えない資産の評価が基本的にはできないという点がネックになります。

アカウンティング、特に「財務会計」は、さまざまな利害関係者の利用を想定するため、客観性が大事になります。つまり、あるブランドをいくらで買ったのかは評価できるけど、そのブランドによって今までよりもどれだけ儲けが増えるのかは客観的に評価できないということです。

従い、ある程度客観的な数値が存在するものを除き、基本的には買った時の価格をベースに財務諸表への計上額が決まってくるのです。

要するに、ブランドや技術力が「売り」の会社の場合、いくら財産や権利の価値を評価しようと、その会社の適正な価値を評価していることにはならないことになってしまうのです(まあ、最低限、今持っているものを叩き売ったらどのぐらいの価値になりそうかを推測することはある程度できるでしょうが)。

ということで、(株)ライブドアの価値を適切に評価するのが難しそうだということは感じていただけたかと思います。となると、視点を変えて、NHNの財務に与えるインパクトから考えてみる方法が、今できる(もしくはできるようになりやすい)評価の仕方なのかもしれません。(※あくまでムラカミの現在のレベル感での話しです)

つまり、今回の株式取得のための資金をどのように捻出したのか確認していませんが、負債によって賄ったのだとすると、自己資本比率がどのように変化するのか、その返済および利払い負担がどのぐらいになり、そのためのキャッシュが賄えるのか、などのような観点から検討してみるという感じになるでしょうね。

と、ここまで引用でした。

途中、長くで複雑な話が展開しましたが、翻って「NHNの財務に与えるインパクト」から考えるということが個人的には最もしっくりきて腹に落ちました。確かに、今回の63億円の資金調達の方法とその返済計画にNHNの意思や意図があるのでしょうね。

さらに、以下の前提をおいて青山さんの解説をお読み頂きたいとのことでした。

 (1) 買収するライブドアの事業であるメディア事業・ネットワーク事業に精通していない
   →市場の今後の動向を見通すことができない
 (2) NHNおよびライブドアの事業を詳しくは知らない
   →買収により、NHNの事業がどのようなインパクトがあるのか定量的に見積もることが困難
 (3) ファイナンスの知識が欠如している

結論としては、仮に外部の人間だったとしても、上述の3点をクリアできれば、DCF法による評価ができるだろうということになります。(^^;;

こうやって興味のある会社の具体的な事例からアカウンティングやファイナンスを考えると非常に面白いですね。

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